教育システム
道場 Activity 道場 Activity

2017.10.20

H29年度AGL山田道場WHAT'S GOING ON『Design Thinking 1-Day Workshop<デザイン思考1-Dayワークショップ>』

Facilitator: Takanori Kashino, Design Thinking Institute <デザイン思考研究所 柏野尊徳氏>

10月14日(土)に、一橋大学国立キャンパス(マーキュリータワー)にて、13:00-から約5時間半に渡り行いました。一橋大国立キャンパスでワークショップを行うのは今回で2回目ですが、本ワークショップの告知を同大のホームページに掲載いただくなど、昨年に引き続き、一橋大ICSの全面協力をいただきました。改めて、御礼申し上げます。
ファシリテーターは、いつも通り、デザイン思考研究所・柏野尊徳氏にお願いしました。柏野さんによる「デザイン思考ワークショップ(入門編)」は、2012年からおこなっており、今回で6回目になります。

1.参加者:
当道場のほとんどのmenuは、AGL所属生はもちろん、意欲ある一般学生の参加も可能にしています。できるだけ多様性を保ち、かつ、意欲に高い学生が参加することで、AGL所属生、OPEN参加学生共に、いい刺激が生み出されるのを期待しています。参加者の、大学・AGL/OPEN別、男女比、学年別、専攻別による内訳は下記の通りでした。

内訳Ⅰ.png男女比.png

内訳Ⅲ.png系別.png

2.デザイン思考:
米国のデザインハウスであるIDEO社の創業者で、スタンドード大学d.schoolを設立したTom Kellyにより提唱された「デザイン思考」は、「イノベーションを生み出す方法論」と説明されることが多いが、ポイントは下記2点。
(1)Creative Confidence:「新たな価値」を創出することこそが全ての活動の原点であり、創造することは、一部の人の才能ではなく、誰でもできる。
(2)Human Centric:ユーザーの思考の原点を見つめ、有用性から物事を考える。それに有効な考え方の基本ステップが「empathize」「define」「ideate」「「prototype」「test」である。
本ワークショップでは、上記を噛み砕き、問題発見に必要な、発見と詳細化、そして、問題解決に必要な探求と実験を、プロセスとし、グループワークを行ないました。

1-SlideYuyosei_L.jpg


3.今回のテーマ:「読書体験を新しくデザインする」
成果は、製品/サービス、どのような形でもOK。「本」という形にとらわれることなく、漫画だろうが、小説だろうが、論文だろうが、「読む」体験の新たな価値を模索し、「新たな価値」を生み出すさいの、「Creative Confidence」と「Human Centric」の考え方を体感します。

スクリーンショット_0029-10-19_午後10_39_54.png


4.プロセス:
(1) 発見:
ワークでは、2人ペアで、相手にインタビューをします。「いつ読書している?」「読書する際に感じた嫌なこと・不便なことは?」などと質問し、相手に「共感」します。「なぜ、そう思うのか」「なぜ、嫌なのか」というように、その理由を深掘りします。

2-KoizumiSayama_L.jpg 3-OuraOka_L.jpg

(2)詳細化:
インタビューで得た情報から、ユーザーが抱える課題を明確にします。「私が出会った(特徴/ユーザー名)は、(ニーズ)する方法が必要だった。なぜなら/でも、(インサイト)。」という文章に落とし込めると「着眼点」が明確になったと言えます。

(3)探索:
詳細で得た「着眼点」から、ブレインストーミングで数多くのアイデアをだしていき、その解決への可能性を広げていきます。ポイントは、量より質(評価をしない)、簡潔(視覚化)、共同作業(他人に乗る/喋りながら)、です。

4-Iwabuchi_sasaken_L.jpg 5-HirataFukumura_L.jpg

(4)実験:
体験を提供するプロトタイプを作り、ユーザーとともに新しい物語を生み出します。質ではなくスピードです。

(5)展開:
アイデアを表現して、解決策の体験、ストーリーテリングを行い、フィードバックを得ます。それにより、解決策の改良を行います。

6-DemoMatsuo_L.jpg 7-DemoMatsuno_L.jpg

今回は、全7チームで作業を行い、皆さん、なかなか面白いアイデアも出てきました。ちぎれる本、好きなところがちぎれて、そのちぎれたところは自分のタブレットにも反映されたり、ちぎれたところが自動再生したりするのは面白かったですし、ちょっと似たコンセプですが、論文などで、紙が二重構造で、重要な部分を、「まっすぐ(綺麗に)」破けてその部分を持ち帰れるが、下に同じ文章があるので問題ない、というようなものはなかなか面白かったです。

PA140283all_L.jpg 8-Kashino_L.jpg

5.当道場の狙い:
(1) 「リーダーシップ」を「リーダー」の役割と捉えるより、学生の皆さんがしなければならない「新たな価値を創造」するために発揮すべき「リーダーシップ」とは何なのかと、捉えるべきと考えます。「やりくり」「調整」ではイノベーションは生まれないし、「当事者」でなければ人はついてこないからです。
(2) その際に不可欠なのが「発想」と「共感」。これはPeter Druckerが言うとことの「イノベーションとマーケティング」です。この2つの不連続的な機能が、「新たな価値を創造」するkeyとなると思います。人間中心の発想は、トヨタかんばん方式にも通じるものがあり、「デザイン思考」のプロセス自体も、特に目新しいものではなく、特に新事業開拓やマーケティングをやっている方には、「当たり前」と言うか「真実」です。しかし、現状を見れば、新事業開拓自体をしている人の方が少ないし、その人たちも、このプロセスに精通しているかと言ったら、そうではないのが現状です。「デザイン思考」は、前述の、不連続な「発想」と「共感」を理解する第1歩として、最適と思います。
(3) 「デザイン思考」を説明する場合、本場では「methodology」と言う言葉を使いますし、日本語でも「方法論」と言う場合がよくありますが、間違えて欲しくないのは、それらの言葉は、「ハウ・ツー」とは違うと言うこと。「ハウ・ツー」は、考えることなしにきめたれたステップを踏んで行くこと。Methodology(方法論)は、「思考」が入り、考えなしに当てはめるようなことはしません。「デザイン思考」も、その意味で、より概念的なので、各ステップを現実に「当てはめよう」とするのはナンセンスです。考え方を取り入れて、実際にどのようなステップを踏んで行くかは、自分で、考えるのですよ。
(4) 当道場では、「新たな価値を創造する」ためのワークショップ群を用意し、「新たな価値を創造する」ためのリーダーシップを醸成します。そして、来期の「Lean Launchpad」で、「実践」に持っていく予定です。頭に、体に、叩き込めればいいかなあ、と思っています。

(グローバルリーダー教育院(AGL)特任教授・道場主 山田圭介)