教育システム
道場 Activity 道場 Activity

2018.10.18

H30年度山田道場WHAT'S GOING ON 『デザイン思考1-dayワークショップ<Design Thinking 1-day Workshop>』

Facilitator; Takanori Kashino,Eirene University〈ファシリテーター;一般社団法人アイリーニ・ユニバーシティ 創業者/代表理事 柏野尊徳氏〉

10月8日(月)に、一橋大学国立キャンパスにて、東工大グローバルリーダー教育院(AGL)山田道場を行いました。今回は、一般社団法人アイリーニ・ユニバーシティの創業者・代表理事である柏野尊徳氏のファシリテーションによるワークショップ、「デザイン思考1-dayワークショップ」です。このワークショップは、AGLでは2012年から開催していますが、AGLに協力している一橋大学の国立キャンパスでの開催は、今回で3回目となります。AGLには、東工大生はもちろん、一橋大生も所属していますが、山田道場のmenuは、そのほとんどがAGLに所属していない一般学生も参加できます(OPEN道場)。本ワークショップは、特に、一橋大学国立キャンパスでの開催ということで、一橋大学のホームページにも告知を掲載いただいたこともあり、東工大からも、また、一橋大からも定員以上の応募がありました。応募者の中から申し込み順で、AGL所属生およびOPEN参加学生含め、学部1年から大学院修士2年生まで、東工大17名、一橋大15名、合計32名の参加で行われました。

〈ワークショップ内容〉
今回のワークショップは、入門クラスということで「イノベーションのための方法論」と言われているデザイン思考を理解する第1歩という位置づけです。デザイン思考とは、人の幸福や社会の繁栄のために、人にとっての有用性を第一としてイノベーションを実現させる、問題発見・問題解決の考え方を指します。一般的にデザインというと、見た目のことをイメージするかもしれませんが、ここでは見た目だけを指すのではなく、現状をよりよい状態にしようと変化させることをデザインと考えます。デザイン・プロセスは(1)発見、(2)詳細化、(3)探索、(4)実験、(5)展開の5段階から成ります。
 今回のテーマは「読書体験を新しくデザインする」ということで、小説、論文、参考書、漫画など、あらゆる読書体験に関して、よりよい体験をデザインすることに取り組みました。イノベーションは、チーム・スポーツということで各々が得意な部分で力を発揮しチームとして成果を出すことを目指し、グループワークを行いました。以下では、具体的なデザイン・プロセスを追っていきます。

(1)発見:ユーザーに対する深い共感から、ストーリーを見出すことを目的に、2人ペアで互いにインタビューを行いました。問題発見のためには相手(ユーザー)への共感が必要であり、相手の具体的なエピソードを理解することが重要だそうです。「いつ読書をするの?」「読書をする際に不便なことは?」「なぜそう感じるのか?」などと質問を行い、相手を理解しながら話をどんどん掘り下げていきました。
PA080870Nakamura_Kamoi_L.jpg

(2)詳細化:発見フェーズで得られたユーザーからの情報を整理・統合し、ユーザーの抱える課題を明確にすることを目的に、インタビューで得た情報をチームで共有していきました。ユーザーのニーズと、共感フェーズで得られたインサイトから、チームの「着眼点」を導き出しました。具体的には「私が出会った(特徴/ユーザー)は、彼/彼女には(ニーズ)する方法が必要だった。なぜなら/でも(インサイト)。」の文章に落とし込みます。着眼点を決めるポイントとしては、「常識から外れているけれど言われたら分かる」ものを選ぶことだそうです。

(3)探索:数多くのアイデアを探求し、プロジェクトの可能性を広げることを目的に、詳細化で得た「着眼点」に対する解決の方策アイデアを、ブレインストーミングで出していきます。その際のポイントは、「質より量(評価せず思い付きの発言もよし)」、「簡潔に(視覚化/新聞の見出しを意識)」、「共同作業(チームメンバーの発言に乗り、喋りながら)」を行うことだそうです。一程度、アイデアが出たらそれらを分類していきます。分類は機能ではなく、ユーザーにとってのメリットによって分けていくことになります。そして「有用性(ユーザーに喜んでもらえる)」「実現性(形になりそう)」「革新性(前代未聞)」の観点から、実際に問題解決に用いるアイデアを選択します。アイデア選択では、実現性のあるものを選びがちですが、そもそも相手(ユーザー)が喜んでくれるかという有用性を第一に考えることが肝となります。

PA080932Furuhashi_Emin_L.jpg

(4)実験:体験を提供するプロトタイプを作り、ユーザーとともに新しい物語を生み出します。プロトタイプの作成では、クオリティを追求するのではなく、メリットが伝わるように意識し、素早く行うことが重要です。実際にプロトタイプを作ったら、ユーザーを相手にテストし、フィードバックをもらいます。それらを「良い点」「改善点」「疑問点」「アイデア」に分類し、アイデアをさらによいものにするように練り上げます。

(5)展開:関係者へアイデアを表現し、解決策の実現性を高めます。アイデアを伝える際に、その機能や中身を説明するのではなく、ユーザーの日常の困っている経験や、それに対しチームで生み出したアイデアがいかに影響し、変化を与えるかといったストーリーで伝えることを意識し、各チームがアイデアを発表しました。

PA081087KitoNagataCho_L.jpg
〈感想〉
 今回は、「デザイン思考」の体験、様々なバックグラウンドを持ったメンバーとチームで作業をしてみたいと考え、ワークショップに参加させて頂きました。デザイン思考とは、という基本的な説明から具体的なデザイン・プロセスの体験までといった濃密な内容でした。デザイン思考を初めて学ばせて頂いた私にとっては「モノ」ではなく「体験」をデザインするという発想自体が新鮮でした。また「そもそもユーザーが喜ぶか」ということを第一に考えて、ユーザーとの対話の中で構築されていくデザイン思考の方法には、人が豊かな生活を送っていくエッセンスが詰まっており非常に魅力的に感じられました。ワークショップでは、各々のチームで活発に議論が行われ、ユニークなアイデアの発表が行われ、自分にとっても、参加されたみなさんにとっても刺激的な体験になったかと思います。

PA080990HuoEgashira_L.jpg
 具体的な作業に関する感想としては、相手のニーズとインサイトを考えるためには、自分の視点からの解釈ではなく相手をありのままに理解しそのストーリーを整理することが重要となってきますが、相手の話を知らず知らずの間に自分の視点から想像し解釈をしてしまい、相手のニーズやストーリーを的確に汲み取ることの難しさを感じました。
 今回デザイン思考のワークショップに参加させて頂き、大変貴重な体験をさせて頂きました。今回学ばせて頂いた内容を今後ぜひ活かしていきたいです。このような機会を提供して下さったアイリーニ・ユニバーシティ・柏野さんに心より御礼申し上げます。どうもありがとうございました。

PA081114All_L.jpg
(文責:山本美里 AGL8期生 一橋大学大学院社会学研究科)