文部科学省博士課程教育リーディングプログラム事業による支援期間の終了に伴い、平成 30年度3月末に終了となったグローバルリーダー教育院のWEBページです。アーカイブとして残してあります。 グローバルリーダー教育課程は、今後も学内で継続されます。同課程に関する情報は、新 HP に随時アップされますので、(こちら)をご確認ください。
AGL:グローバルリーダー教育院

文部科学省博士課程教育リーディングプログラム事業による支援期間の終了に伴い、平成 30年度3月末に終了となったグローバルリーダー教育院のWEBページです。アーカイブとして残してあります。 グローバルリーダー教育課程は、今後も学内で継続されます。同課程に関する情報は、新 HP に随時アップされますので、(こちら)をご確認ください。
教育システム
道場 Activity 道場 Activity

2014.05.20

平成26年度科学技術系・古井道場「グループワーク第一」活動報告

1 過去・現在・未来(講師:古井貞熙)(4/8)

道場主のこれまでの経歴を紹介し、どのような考えをベースとしてこれまで学び、仕事をし、生きてきたかを話した。現在グローバルリーダー教育院での教育と並行して行っている、米国シカゴでのToyota Technological Institute at Chicago (TTIC)での学長の仕事を紹介し、アメリカの大学、組織、教育の特徴を、日本と対比して述べた。これに基づき、これからの日本の大学教育の在り方についての考えを述べ、種々の討論を行った。

2 エネルギー問題の課題と背景(講師:小林寛三氏(国際大学GLOCOM))(4/22)

(1)    エネルギー問題の歴史的背景
世界の各国のGDP比率の2000年の推移、現在の世界各地域の(人口、GDP、エネルギー生産および消費、CO2排出量)の関係、世界各地域のエネルギー生産量(総量、電気、石油、天然ガス、石炭、水力、原子力)の推移、原油価格の推移、日本の化石燃料輸入額と対GDP比、各国と日本のエネルギー自給率、石油の海外輸送のリスク、天然ガスパイプライン

(2)    エネルギー問題の本質
上記の実際のデータに基づき、多様な要因が絡んだ複雑な問題の本質を学んだ。

(3)    エネルギー問題の予測の難しさ
上記のデータと議論に基づき、今後の展望について討論した。

 3 エネルギーベストミックスの仮想シミュレーション(講師:小林寛三氏(国際大学GLOCOM))(4/23)

(1)    再生可能エネルギーの現状と課題
世界の原子力発電設備の伸び、再生可能エネルギーによる発電容量の増加と割合、再生可能エネルギーの将来像、エネルギー関連R&D予算と原油価格の関係、エネルギーベストミックスを考える上での種々の要素、などについて学び、再生可能エネルギーは主役となり得るかについて討論した。

(2)    スマート社会へのさまざまな挑戦
Smart Houseのイメージ、日本の発電設備容量と実際の発電量の推移、各国のエネルギーコスト、電気料金の国際比較、日本における種々のエネルギー源による発電コストの比較、電力需要の一日の変化、デマンドレスポンス(DR)、原発交付金の内訳と年度変化、日本の固定価格買取制度、再生可能エネルギーを電力系統に組み込む方法、エネルギー投資効率/収支比、再生可能エネルギーの開発期間の長さの比較、水素エネルギー活用、復興都市構想としての位置づけ、open energy system、などについて学び、今後のスマート社会の可能性について討論した。さらに、今後の世界の原発のあり方と、日本の役割について討論した。

4 イノベーション(講師:広瀬晴子特任教授)(4/30)

道場参加者を以下の2つのテーマに分け、それぞれ事前に準備をして、プレゼンテーションと討論を行った:

(1)    イノベーション創出と技術漏洩
技術的に他企業(国内外)に追い上げられて、M&Aされそうになっている会社で働いていると想定して、会社を再興するような技術的イノベーションを生み出し、かつ技術漏洩をふせぐにはどうしたらよいか? 技術価値に対する正当な評価、技術者の待遇改善、技術者の倫理教育、グローバルスタンダードの周知徹底、技術漏洩に対する法律の整備、自由な発想による新規製品立ち上げ部門の構築などについて、発表、討論した。

(2)    東工大からノーベル賞受賞者を出すには
異分野交流と、研究に専念できる環境の重要性に注目して、発表と討論を行った。東工大に学生会館を建て、異分野の学生や教員が集まって、議論や雑談ができる場を作るとともに、そのような雰囲気を作る努力をする。研究を主に行う教員と、学部教育など教育を中心に行う教員を分ける。事務職員を専門職としてのレベルアップを図り、教員の研究・教育に専念できる時間を増やす。教員や学生が、これまで以上に国際的な活動に積極的に参加する。など。

人と組織のマネージメント(講師:藤井正嗣氏(早稲田大学))(5/19、6/2、計2回)(英語講義)

1回目:

下記の3つのケースを元に、human resources managementが如何に難しいか、どのような対応が問題か、望ましい対応は何かを、特に日本から海外の支社などへランクアップして派遣された場合を例として、英語で討論した:

(1)   女性職員が、直接上司の差別やパワハラを訴えた場合
→感情を認知する、苦情が事実か確認する、正当な評価をする、苦情のいきさつを理解する、リスク・マネジメントをする

(2)   重要なスタッフが、外部の会社からヘッドハントされた場合
→目的を述べる、関心を示す、敬意を表す、ポジションを明確にする、代替案を提供する、不利な面を指摘する、新たなポジションを作る、日本企業に勤務するメリットを語る、将来のキャリア・ビジョンを語る

(3)   スタッフから、昇給やサラリーについて不満を打ち明けられた場合
→即答は避ける、安易な約束はしない、専門家(人事部、コンサルタントなど)に相談し、市場の給与水準との対比をする、常々オープンかつプロフェッショナルなコミュニケーションを図る、日頃から後継者の育成を心がける
“Warm heart, Cool head”

2回目:

下記の2つのケースを元に、海外での人事や企業経営の難しさ、望ましい対応、心構えなどについて、英語で討論した:

(1)  新たにアサインされた仕事に対する働きが悪いことを理由にVPを解雇し、それに対して、年齢差別として訴えられた場合
→前任者からの業務の引き継ぎは、できるだけ抜けのないように詳細に行う。解雇などの重要な決定や伝達には、争いの当事者(ライバルなど)は入れず、弁護士、人事部長などを立ち会わせる。国際的な関係は微妙なので、現地人(アメリカ人など)がいる場での議論の内容には気を付ける。裁判になるのは、いくら正しい論理があっても、できるだけ避ける。

(2)  価格操作スキャンダルに巻き込まれた場合
→ビジネスにおいては、常にいろいろな罠がある。経営がうまくいって大きな収入があったとき、誘惑に駆られないことが大切。うまくいっている会社の二代目は難しい。

最後に、”What is global leadership?”と題して、global leaderとしての能力を磨くにはどうしたらよいか、IQ (Functional Skills) → EQ (Authentic Leadership) → CQ (Culturally Intelligence)の3階層が重要というお話があった。

6 客観的思考と議論における統計情報の役割―社会・経済開発分野の選定のためのマクロ統計データの使い方―(講師:山田哲夫氏(前UNIDO主席統計官))(5/20、6/3、計2回))

1回目:

グループワーク「ASEAN諸国(プラス日本)に関する統計データの応用による、カンボジア(グループ1)とフィリピン(グループ2)のマクロ社会・経済分析と開発政策重点分野の選定」の準備として、下記の講義を受け、討論を行った:

(1)  グローバリゼーションと我々の意識の転換
世界が直面している諸問題、途上国問題の例、最貧国における低成長の経済学的要因、途上国問題に関する統計情報の例、国際協力・協調と国際感覚、国際貢献と国際人

(2)  社会・経済政策立案におけるマクロ比較実証分析の重要性
持続可能な経済開発、高成長可能分野、比較優位、相対的制約要因、技術革新と生産性

(3)  分析の枠組み:持続可能なマクロ経済生産・生産性のメカニズム
生産(GDP創出)に必要な生産要素、生産性の向上に対する技術革新の役割、技術革新から持続可能な経済成長へ

(4)  政策分野の選定
固定資本、人的資本、労働力、技術

(5)  グループワーク(統計データの応用演習)に関する説明
World BankのWorld Development Indicators Database、種々の指標とその利用

 2回目:

前回からの宿題のグループワークを踏まえて、以下を行った:

(1) フィリピングループ(グループ2)による発表「データから見たフィリピンの医療」と討論
課題:人口増加率が高く、妊産婦死亡率、乳幼児死亡率、伝染病による死亡率が高い。
実情:保健所や医療施設が不十分。医療保険制度が不十分。保健衛生が外国のNGOによって支えられている。
今後の対応:医療政策の構築や、災害復興のノウハウで日本が協力する。

(2) カンボジアグループ(グループ1)による発表「カンボジアにおけるマクロ実証分析と持続可能な経済開発のための政策の選定」と討論
統計分析:人口・面積、主な産業、教育、インフラ、経済
主な産業は農業で、子供の農作業率が80%以上と高い
小学校にはほとんどの子供が通っており、中学進学は少ないが、中学と高校の卒業者は増えている。先生の数が不足している。
電力やインタネットが普及していない。経済は成長しているがハイテク産業はほとんどない。
今後:食糧生産を伸ばし、輸出することにより、持続的な成長を目指す。そのために、農地の貸与、税制、販路整備、農業機械の貸与、農機メーカーの誘致、電力・インターネットインフラの整備、教育の充実、先生の処遇改善などを行う。

(3) 全体討論(質疑応答)

(4) 分析手法と結論の説得力に関する評価

感覚に頼らず、客観データに基づく分析をすることが重要
データを正しい方法で比較することが重要(正規化など)
データを分析するときに、今次メーションを発揮することが重要

 7 Global entrepreneurship – The Cooori story (講師:Arnar Jensson氏(Cooori))(5/27)(英語講義)

Global entrepreneurshipに関して、講師自身が東工大で博士を取得し、自ら「Cooori」社を立ち上げ、San Franciscoで開かれたEntrepreneurshipを対象とした”JapanNight”で優勝し、その後着実に業績を上げている経験をベースに、”How to find new business opportunities”と題して下記の内容で講演していただき、多様な討論を行った。

1. Vision the future and new technology, 2. Acquire special skills, 3. Spot problems and find solutions, 4. Find painful solutions and reduce pains, 5. Improve user experience, 6. Connect buyers and sellers and take a percentage of the deal, 7. Copy or improve for another market, 8. Explore foreign countries, 9. Market development, 10. Iterate quick implementation-feedback- improvement cycle, 11. Talk to creative people

 8 多様性を活かすコーチ型リーダーシップ育成トレーニング(講師:桃枝孝一郎氏(コーチA)(6/10、6/24、7/1、7/15、計4回)

1回目:

(1)  コーチングとは何か(対話を重ねることを通して、クライアントが目標達成に必要な考え方、スキルや知識を教え、自発的に行動することを促すプロセス)

(2)  憧れのリーダー像の要素を上げ、討論した。

(3)  グローバルリーダーに求められるコミュニケーションの方法と、自分のコミュニケーションについて考えた。

(4)  リーダーシップとは何か(自分あるいは組織が実現したいことに、周りの人を喜んで参画させる力)、そのために必要な要素は何か、acknowledgmentの重要さについて学んだ。

 2回目:

(1)  信頼構築チェックリストに基づき、周囲の人に自らの行動をチェックしてもらい、それについて考えた。リーダーにとって、いかにフィードバックを集めるのが大切か、そして難しいかを学んだ。

(2)  人と関わる際に他者を理解するのに有効とされている、「コントローラー」「プロモーター」「サポーター」「アナライザー」の4つのタイプ分けについて、自らを分析し、それらを踏まえた個別対応のコミュニケーション方法、特に上司と部下の関係について学び、討論した

(3)  種々のタイプの人と信頼関係を構築するための方法について学んだ。人は瞬時に相手を判断するが、間を持って考えることが大切であること、相手のタイプを意識して上手にほめることが重要であることなどを学んだ。

3回目:

(1)  前回学んだ4つのタイプ分けを意識してメンバーと関わるアクションプランを作り、実行した経験について報告し、討論した。考え方の違いを認識するとともに、違うタイプの人と話すことが有益であることを学んだ。

(2)  「ヴィジョン」について、それを持つことの大切さ、その持ち方を学んだ。対話を通じてヴィジョンを構築する方法、その効果、そのための質問の仕方、パターン(肯定・否定、未来・過去)について学んだ。質問力がリーダーシップに大切であることを学んだ。

(3)  次回までに、ペアを作って、コーチングを通じてヴィジョンを描く練習をするとともに、5年後にどういうリーダーとして活躍しているかを書き、さらに、5年後の日記を書いて提出することにした。

4回目:

(1)  対話を通じてヴィジョンを創る練習と、5年後の自らのリーダーのイメージと、5年後の日記を書いてみた経験について、報告した。

(2)  「どういうリーダーになりたいか」という観点から、ペアで日記を披露する側と質問する側になり、それを入れ替えて、その印象を話し合った。

(3)  各自の5年後のヴィジョンを披露して、質疑を行った。

(4)  以上を通じて、ヴィジョンを創ることの重要性と、そこにおける対話、フィードバックの役割の重要性を学んだ。

(5)  5年後のありたいリーダー像について、各自パワポ1枚に表現し、それをプレゼンし、フィードバックを受けて、これまで学んだことを復習した。

9 今後の日本・インド関係について(インド研修準備を兼ねて) (講師:広瀬晴子氏)(7/22)

インド研修参加予定者4名が、準備のために進めている調査検討内容について、下記のプレゼンテーションをし、それをベースに、今後の準備の進め方を中心として、種々の討論を行った。

(1) インドをめぐる国際関係
米国のケネディ政権期の対インド・パキスタン政策と同盟政治~南アジア政策と中近東政策との連関~、インドをめぐる国際関係:歴史と現在、インドの外交政策、日印関係への論点

(2) インドの電力需要に対する日印協力の可能性

インドの電力需要の特徴と課題(電力の量的不足、電化率、州電力事業の破綻)、発電部門における日印協力の方向性(高効率石炭火力、太陽光発電、原子力発電)

(3) インド⇒日本の留学促進
留学の意義、日印留学のメリット、日印留学の現状、なぜ少ないのか、IIT-Hと日本の協力関係、IIT-Hから東工大への留学の促進のための方策、IIT-Hでのグループワークの計画

(4) インドの自動車産業とTata
インドの自動車市場の推移と現状、シェア、トップメーカー、トヨタ自動車の状況、Tata財閥、Tata Consultancy Services(今回の訪問先)

10 学生によるプレゼンテーション(講師:古井貞熙)(7/29)

今学期の道場参加者6名とメンターの笠井さんがそれぞれ、日頃考えていることなどを下記のタイトルでプレゼンテーションし、それをベースに討論を行った:

(1) Tiny Instruments unite the world―ハーモニカを通した国際交流―(稲川)

(2) ”地球“から”地球たち“へ(上田)

(3) 最近注目していること―インターネット上からいかに早く知識を得られるか―(岡本)

(4) ヘヴィメタルについて(高村)

(5) 法律の世界へ入ったきっかけ、そして、紛争解決/ADRについて(渡邊)

(6) 古井先生から教わったこと(室賀)

(7) 知識・知能・知性(笠井)