文部科学省博士課程教育リーディングプログラム事業による支援期間の終了に伴い、平成 30年度3月末に終了となったグローバルリーダー教育院のWEBページです。アーカイブとして残してあります。 グローバルリーダー教育課程は、今後も学内で継続されます。同課程に関する情報は、新 HP に随時アップされますので、(こちら)をご確認ください。
AGL:グローバルリーダー教育院

文部科学省博士課程教育リーディングプログラム事業による支援期間の終了に伴い、平成 30年度3月末に終了となったグローバルリーダー教育院のWEBページです。アーカイブとして残してあります。 グローバルリーダー教育課程は、今後も学内で継続されます。同課程に関する情報は、新 HP に随時アップされますので、(こちら)をご確認ください。
教育システム
道場 Activity 道場 Activity

2014.04.23

平成25年度科学技術系道場「グループワーク第一」活動報告

1 エネルギー問題の課題と背景(講師:小林寛三氏(国際大学GLOCOM))(4/9)
グローバルな課題としてのエネルギー問題に関して、一次エネルギーの変遷、電力エネルギーの内訳の変遷、デマンドレスポンス、電力自由化、再生可能エネルギーなどについてお話しいただいた。これをベースに、技術・経済・環境の3つの視点から、30年後の日本のベストエネルギーミックスを考えることを、宿題とした。

2 エネルギーベストミックスの仮想シミュレーション(講師:小林寛三氏(国際大学GLOCOM))(4/30)
前回からの宿題について、3つの視点に対応した3つのグループからのプレゼンテーションを行い、質疑と討論を行った。これにより、日本のエネルギー問題の全体像がかなり明らかになったが、グローバル・全エネルギー・長期的視点の議論にどう展開していくかの難しさが浮き彫りとなった。新エネルギー源の実現可能性の期待がある中で、これらには種々の不確実性もあり、日本の長期的なエネルギー戦略の国民的な合意形成の難しさを再認識した。

3 途上国支援を考える(講師:高井壮一氏(ODAコンサルタント))(4/16)
主としてカンボジアでの長年のODAコンサルタントの経験をベースに、文化の異なる途上国(将来の予測という観念がないなど)への支援の難しさ、過去の欧州諸国の植民地政策の多大な影響、その中での支援の意義、あり方、日本のODAの問題点(手続きが遅いなど)などをお話しいただき、グローバルリーダーとは何か、ジェンダー問題の意味などについて、討論した。

4 Silicon Valley Disruption – New Approaches to Innovating, Collaborating, and Investing(講師:松本均氏(米国富士通研究所)(4/17)
2月のカリフォルニア研修で訪問した米国富士通研究所でお話を伺った松本氏に、日本出張の機会を利用してお出でいただき、最近のシリコンバレーの状況についてお話しいただいた。特に”disruptive”(破壊的)な技術革新やビジネス展開が、多様な才能、アイディア、資金、および文化の交わりを背景として起こっている状況を、具体的な例を用いてお話しいただき、日本の企業もシリコンバレーで積極的にビジネス展開をすべきというお話を伺った。

5 客観的思考と議論における統計情報の役割―グローバリゼーションと社会・経済開発分野選定のための国際比較実証分析(その1)(講師:山田哲夫氏(国連コンサルタント))(5/7)

まず、講師のUNIDO主席統計官・国連コンサルタントとしての経験から、日本人と西欧人の議論の仕方の違いについてのお話があり、主語をはっきり言う、能動態で話す、主張のベースを端的に箇条書き的に話す、直接的にはっきりと話す、質問に対して「Yes」「No」をはっきり言うということの重要性が話された。次に、統計情報すなわち客観情報に基づく議論の重要性と、その時に注意すべきことについて話された。国際協力・協調と国際感覚、途上国問題、日本のODAの問題などについても話された。

その後、次回までの課題として、「マクロ開発政策提言のための国別実証分析」の具体的方法の説明があった。マレーシアとフィリピンを対象とする2つのグループを作り、それぞれ実際のUNIDOの統計データに基づいて、次回までに政策提言を作成し、発表することにした。

6 客観的思考と議論における統計情報の役割―グローバリゼーションと社会・経済開発分野選定のための国際比較実証分析(その2)(講師:山田哲夫氏(国連コンサルタント))(5/21)

まずマレーシアを対象としたグループから、多様なデータの分析に基づいたマレーシアという国の概要、アジアにおける経済的位置づけ(GDPが20年以上ほぼ着実に伸び、個人当たりGDPはほぼ1万ドルに近づいて、すでに中進国と言えることなど)、今後の産業政策(機械類から情報通信産業に重心を移し、アラブ圏との貿易を増やし、研究開発投資を進め、観光客の受け入れにも力を入れることが期待される)などのプレゼンテーションがあった。

次にフィリピンを対象としたグループから、UNIDOのデータに基づいたフィリピンの経済的位置づけ(特に、インドネシア、日本との比較)、今後の国としての政策(インターネットインフラの整備、高等教育の充実、特に研究開発人材育成のための教育プログラムの整備、若者の雇用機会の創出の必要性、幼児教育の充実化)の提案があった。最後に、二つのグループの発表を総合した討論を行い、発展途上国における指導者の存在の重要性、しっかりしたデータ分析に基づく政策策定の重要性などについて学んだ。

7 知的財産保護とその実践(その1)(講師:中尾直樹氏(中尾国際特許事務所))(5/14)
(1) ビジネスの社会における契約について、その典型的な例として、機密保持契約書に書くべきこと、私的自治の原則、強行規定、任意規定
(2) 知的財産の基本(知的財産の種類、発明の保護、著作物の保護。デザインの保護、画面の保護などについて)
(3) 特許出願書類の構成と読み方(特許請求の範囲、明細書・図面・要約の役割、特許公開公報と特許公報、特許文献の検索、特許請求範囲の分析、権利はどう定義されるか)
などについて学んだ。

8 知的財産保護とその実践(その2)(講師:中尾直樹氏(中尾国際特許事務所))(6/11)
前回の宿題として出された特許公報の例を発明の本質を意識しながら読み、請求項を要素ごとに分ける、という課題について討論し、特許の書き方について学んだ。引き続き、次の課題について学んだ。
(1) 特許権の権利範囲(権利侵害の種類:文言侵害・均等侵害・間接侵害、上記の特許公報の権利範囲について)
(2) 商標権(標章と商品・役務、商標権のイメージ)
(3) 条約(パリ条約、内国民待遇、特許独立の原則、優先権)
(4) 発明を守る方法(特許法、不競法、著作権法)

9 多様性を活かすコーチ型リーダーシップ育成トレーニング(講師:桃枝孝一郎氏(コーチA)
(6/13、6/18、6/25、7/9、計4回)

1回目:
(1) コーチングとは何か(対話を重ねることを通して、クライアントが目標達成に必要な考え方、スキルや知識を教え、行動することを支援するプロセス)
(2) 憧れのリーダー像の要素を上げ、討論した
(3) グローバルリーダーに求められるコミュニケーションの方法と、自分のコミュニケーションについて考えた
(4) Acknowledgmentの重要さについて学び、実行してみることにした

2回目:
(1) 関係構築チェックリストに基づき、周囲の人に自らの行動をチェックしてもらい、それについて考えた
(2) 人と関わる際に他者を理解するのに有効とされている、「コントローラー」「プロモーター」「サポーター」「アナライザー」の4つのタイプ分けについて、自らを分析し、それらを踏まえた個別対応のコミュニケーション方法、特に上司と部下の関係について学び、討論した
(3) グローバルビジネスで日本人が持つべき能力について、学んだ

3回目
(1) 前回学んだ4つのタイプ分けを意識してメンバーと関わるアクションプランを作り、実行した経験について報告し、討論した。考え方の違いを認識するとともに、違うタイプの人と話すことが有益であることを学んだ。
(2) 「ヴィジョン」について、それを持つことの大切さ、その持ち方を学んだ。対話を通じてヴィジョンを構築する方法、その効果、そのための質問の仕方、パターン(肯定・否定、未来・過去)について学んだ。
(3) 次回までに、ペアを作って、コーチングを通じてヴィジョンを描く練習をするとともに、5年後の日記を書いて提出することにした。

4回目
(1) 対話を通じてヴィジョンを創る練習と、5年後の日記を書いてみた経験について、報告した。
(2) 「どういうリーダーになりたいか」という観点から、ペアで日記を披露する側と質問する側になり、それを入れ替えて、その印象を話し合った。
(3) A4用紙一枚あるいはスライド1枚に、各自の5~10年後のヴィジョンを描き、披露して、質疑を行った。
(4) 以上を通じて、ヴィジョンを創ることの重要性と、そこにおける対話の役割の重要性、自己表現の難しさを学んだ。

10 宗教について(リーダー:大澤絢子(AGL一期生))(7/16)
世界の宗教の概観し、学生自身の立場と比較して考えることを目的とし、以下について学んだ。
(1) 一神教と多神教
(2) ユダヤ教およびキリスト教概略
(3) イスラム教概略
(4) 日本(人)の宗教(神道、仏教、儒教)

世界の大多数を占める一神教を中心に、インド(仏教、ヒンズー教)、中国の宗教(儒教)を含め、種々の事例に対する意見交換を通じて、世界の宗教および日本(人)の宗教観を再認識した。
また、9月に訪問するモロッコの宗教(イスラム教)についての学習も行った。

11 福島訪問とその準備、およびモロッコ研修の準備(講師:広瀬晴子氏)(7/11, 7/23)
(1) 9月に行うモロッコ研修の準備として、広瀬氏から、第五回アフリカ開発会議(TICAD V)(6月1日~3日に横浜で開催)の出席報告をしていただき、今後のアフリカ開発の方向性と日本の役割について、討論を行った。
(2) 7月23日・24日に行う福島訪問に関して、訪問先と日程を確認し、訪問先について事前調査を行うとともに、各訪問先での質問内容の提案と整理を行うことにした。
(3) 7月23日・24日に福島の以下の場所や被災地を訪問し、3.11東日本大震災の被災者や、復興に携わっている多くの方々に会い、復興のために進められている多様な活動と、それに関わる多くの課題について学んだ:

 福島復興局
 JANICふくしまNGO協働スペースで、「Link with ふくしま」「福島大学災害復興研究所」「NPO法人コースター」の代表者
 Bridge for Fukushima相馬基地
 一般社団法人ふらっとーほく
 NPO法人相馬はらがま朝市クラブ
 NPO法人浮舟の里(南相馬市小高区、浪江町)

12 モロッコ研修の準備(講師:広瀬晴子氏)(7/29)
9月に行うモロッコ研修の準備として、モロッコに関して以下のことを学んだ。
(1) アフリカ西北端の国であるモロッコは、古くからアフリカ、中東、ヨーロッパの文化が交わる地として、また豊かな農業国として人々を引き付けてきている。
(2) 日本の1.2倍の国土、1/4の人口を有している。
(3) アラブの春の混乱が続く中東の国の中で、大きな波乱もなく、穏やかかつ徐々に近代化、民主化が進み、治安が安定している。昨今、アフリカ諸国の経済成長、人口増加、豊富な資源を背景として、順調な経済発展(2000年以降の平均経済成長率は5%以上)をしている。FTAの締結、外国投資の誘致を盛んに行っている。
(4) その他、経済情勢、文化、歴史の概要、そして日本との協力関係を写真や統計を見ながら俯瞰し、日本企業のアフリカ進出のゲートウェイとしての親日国・モロッコの大切さについて考察した。

13 モロッコ研修(9/15~9/25)
参加者:上地、橋本、林、木村、井上、大内、川崎、辻、水上
引率:古井教授、広瀬晴子氏

日程:
9/15(日) 成田からMoroccoのRabatへ移動
9/16(月) 在モロッコ日本大使館訪問、Technopolis訪問、Mohammed V University訪問
9/17(火) RabatからIfraneへ移動。Al Akhawayn Univ 訪問。キャンパス見学の後、両国の学生の自己紹介や質疑応答、グループ分け、グループワーク
9/18(水) Al Akhawayn Univ で学生と前日からのグループワーク。各グループ発表、評価。Fesへ移動
9/19(木) Fes Medina訪問。Rabatへ移動
9/20(金) IFEER訪問、Casa Air Port Free-zone訪問、Sews Cabine訪問、在モロッコ邦人とミーティング
9/21(土) 古井教授、上地、木村、井上、川﨑は出国。他はMarrakesh へ移動。
9/22(日) Medina訪問、Tangierへ移動
9/23(月) Denso、Tangier Free Zone、Tangier Med Port訪問、Rabatへ移動
9/24(火) 橋本、林、大内、辻、水上出国
9/25(水) 日本帰国

(研修内容の詳細は、「モロッコ研修報告書」を参照)