2015.07.08
H27年度山田道場WHAT'S GOING ON 『Developing business of "Heart Simulation" service by using super computer /心臓シミュレータによるテーラーメード医療の実現に向けて』
Guest speaker: Dr. Yoshimasa Kadooka, Ph.D. (FUJITSU LIMITED)
<門岡良昌、富士通株式会社 未来医療開発センター エクゼクティブリサーチャー・理学博士>
2015年7月3日の山田道場は、すずかけ台にて富士通株式会社から門岡良昌さんをゲストにお招きしてお話を伺いました。
門岡さんは現在スーパーコンピュータを有効活用し、テーラーメード医療の実現に向けて研究開発を行っています。
近 年スーパーコンピュータの性能の向上は凄まじく、約10年で1,000倍になります。古いスーパーコンピュータを使うことはそれだけ計算に時間がかかり研 究開発の遅れにつながります。その中、富士通では理化学研究所と共同しスパコン「京」を開発しました。京は10ペタFLOPS(1京FLOPS)もの計算 性能を持ち、完成当時世界一でした。しかし性能面もさることながら、門岡さんの「スパコンはそれが必要なアプリケーションがあってこそ役に立つものであ り、そうじゃなくてはただの箱」という言葉がとても印象的でした。道具を生み出すことも重要だが、それをいかに使いこなすかが大切なことであることを学び ました。
こ の京を用いて門岡さんは、東京大学久田俊明名誉教授および杉浦清了特任教授らの研究グループと共同でマルチスケール心臓シミュレータの研究に取り組まれて います。マルチスケール心臓シミュレータは心電図やCT・MRIの結果から、分子レベルから心臓の細胞、組織を作り出し心臓全体の動きをシミュレートする もので、莫大な演算量を必要とします。通常のコンピュータでは時間がかかるため、京を用いて演算を行っています。このシミュレータを使用して、過去の手術 事例が適正であったかや、薬がどのように拡散するのかなど様々なシミュレーションを行われています。このシミュレータをビジネスとして扱うには、臨床試験 やコストなど様々な問題を解決しなければならないそうです。
門岡さんの様々な困難に何度も挫折しそうになりながらも成功すると信じて、最後まで諦めずに取り組んでいらっしゃる姿に感銘を受け、目的達成のために様々な方向からアプローチを行い、諦めないという強い意志を持ち続けようと思いました。
門岡さん、貴重なお話をしていただきありがとうございました。
文責:長濱大樹 AGL4期生(物理情報システム専攻)