2015.05.01
H27年度山田道場WHAT'S GOING ON 『Lean Launchpad-Customer Development Model- 1; Kick Off 2 day camp<事業創造実践リーンローンチパッド第1回>』
Facilitator;Takashi Tsutsumi/Masato Iino, Learning Entrepreneur Lab.
<ラーニング・アントレプレナーズ・ラボ/堤孝志、飯野将人>
今年度も,グローバルリーダー教育院山田道場のメインメニュー「Lean Launchpad」が始まりました.このワークショップは全6回行われ,ビジネスモデルキャンパスを用いたビジネスの可視化,顧客との対話を通じた仮説検証を繰り返し行い、agileにビジネスモデル構築・変更を行い,「新たな価値を生み出す」というリーダーシップの基本機能の獲得を目指します.
初回は4月4日(土)から2日間の合宿です.
<<合宿初日>>
・ アイデアピッチ
合宿の皮切りとして,各自がアイデアをプレゼンする「アイデアピッチ」を行いました.色やヒールの高さなどをカスタマイズできる靴や,重要な予定を忘れないスケジュール管理システムなど個性豊かなビジネスアイデアが提案されました.その後投票を行い,すでにチームが結成されていた3チームと合わせ合以下の計6チームが結成されました.
1. SITOK
休眠ピアノと音大生のマッチングサービス
2. Mounty
センサーで登山ツアー客の健康関連情報を取得し,ツアーガイドに提供
3. CBEC教員チーム
産学連携のための企業と研究者のマッチングとコンサルティング
4. 和SHOCK!
日本語の読めない外国人向けのレストランメニュー理解支援
5. Priority Booster
優先順位の低い予定を後回しにしないスケジュール管理
・ Business Model Canvasと初期仮説発表
午前中はBusiness Model Canvasを使って,ビジネスモデルを可視化する方法を学びます.ビジネスモデルキャンパスには,想定顧客は誰であるか(Customer Segment),顧客に提供する価値はなにか(Value Proposition),どのように収益を得るか,コスト構造はどうかなどを記載します.
ビジネスモデルキャンパスの例
初期仮説を構築するPriority Boosterチーム
・ 価値顧客シートと相関図
午後はBusiness Model Canvasで可視化したビジネスにより,想定顧客の「切実な悩み」を解決するか, 顧客・提供価値の明確化を行います.「価値顧客シート」には,顧客の抱える悩みや実現したい事柄(Job to be done)を記載し,製品の提供する価値が顧客の抱える悩みを解決するか検証します.また,顧客と製品,ビジネスのパートナーとの関係を相関図によって可視化します.
こうして可視化することで,実は想定していたビジネスが顧客の悩みを解決していないことが判明することもあります.
<<合宿2日目>>
・ 修正仮説発表
2日目は昨日の議論を経て,修正したBusiness Model Canvasや価値顧客シート,想定している市場規模等を発表し,クラス全体で議論します.
「想定している顧客以外にもこんな顧客がいるのではないか?」
「現状対策で顧客は満足しているのではないか?」
「そもそも悩みは切実なのか?」
「顧客の絞り込みが足りないのではないか?」
などなど,積極的な提案や質問が飛び交います.こうして,チームメンバー以外の人から意見をもらうこともビジネスモデルのブラッシュアップに重要です.
修正仮説プレゼンでの議論
・ PICT図解
ビジネスのモノ・カネの流れを可視化するのがPICT図です.この図には,ユーザやパートナーと会社の間に,どのようなカネ・モノのやりとりがあるかを可視化します.
このようにPICT図に落としこむと,想定していた顧客セグメントが複数存在する「Multi-side」なビジネスであることが分かることもあります.例えば,休眠ピアノの活用では,ピアノを使う「音大生」の他に,ピアノを提供する「店舗」側も存在することになり,両方のニーズを確認する必要があります. PICT図には,ビジネス自体を可視化する利点の他にも,このように今後検証すべき事柄を明らかにできるという利点もあります.
PICT図でモノ・カネの流れを可視化
・ MVP作成
想定顧客からのフィードバックを得るには,顧客に見せるためのデモやプロトタイプが必要です.しかし,これらの作成にお金や時間をかけ過ぎると想定しているソリューションが顧客の悩みを解決しないとわかったときのリスクが大きくなります.そこで,Lean Launchpadでは,製品の説明のために必要最低限でかつ本質を抑えた,MVP(Minimal Viable Product)を提示して顧客からフィードバックを得ます.
今回作成するMVPは,ソリューションを説明する絵を紙に描くというものです.このMVPであれば,20分ほどの時間で顧客からのフィードバックを得るためのデモを作ることが出来ます!
2日間の合宿で,ビジネスアイデアがビジネスモデルキャンパスに落とし込まれ,顧客価値シートによって想定顧客と彼らが抱える悩みが明確になり,PICT図でモノ・カネの流れが明らかになり,デモまで完成しました.
合宿の最後には,想定顧客を発見し,実際にインタビューを敢行し,デモを見せながらフィードバックをもらうという宿題が出され,密度の濃い合宿が締めくくられました.今後のワークショップでは,顧客との対話をもとに,さらなるビジネスモデルの改善を行います.各チームがどのような顧客インタビューをしてくるのか,とても楽しみです.
<今回は、このメンバーで行います>
ファシリテイターの飯野さん,堤さん,メンターの須賀さん,飛澤さん,辻さん,川瀬さん,渡邉真由さん,貴重なアドバイスをありがとうございました.また,通訳や会場準備などで活躍していただいたオブザーバーの皆さまにも感謝申し上げます.
(文責・三期生石垣)