文部科学省博士課程教育リーディングプログラム事業による支援期間の終了に伴い、平成 30年度3月末に終了となったグローバルリーダー教育院のWEBページです。アーカイブとして残してあります。 グローバルリーダー教育課程は、今後も学内で継続されます。同課程に関する情報は、新 HP に随時アップされますので、(こちら)をご確認ください。
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2017.08.30

H29年度山田道場WHAT'S GOING ON『Defense Technology Strategy <防衛技術戦略について >』

Guest Speakers:
● Yuji Hagihara, Head, Technical Policy Section, Defense Technology Strategy Dept., Acquisition, Technology & Logistics Agency<防衛省 防衛設備庁 技術戦略部技術戦略課 技術企画室長 萩原 祐史>
● Shogo Tahara, Secretarial Division, Minister's Secretariat, Ministry Of Defense<防衛省 大臣官房 秘書課 田原章吾>

2017年7月21日、防衛装備庁技術戦略部技術戦略課技術企画室長 萩原祐史さん、防衛省秘書課 田原章吾さんをお招きし、防衛技術戦略についてというテーマでお話しいただいた。

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【我が国の防衛政策】
講演の前半は、日本が置かれている安全保障環境をご説明いただいた。
日本と諸外国との関係において、昨今は有事でも平時でもないグレーゾーンの事態が増加している。特にアジア太平洋地域においては、グレーゾーンの事態が長期化、より重大な事態に転じる可能性の懸念が増している。加えて、日本国内においては自然災害が多いなど、安全保障上の脆弱性があるため、大規模災害等への対処に万全を期さなければならない。
このような状況を踏まえ、日本の防衛政策は国家安全保障戦略(以下、戦略)、防衛計画の大綱(大綱)、中期防衛整備計画(中期防)によって定められている。戦略は外交政策および防衛政策を中心とした国家安全保障の基本方針である。戦略の内容を踏まえ、策定されるのは大綱である。これは防衛力のあり方と保有すべき防衛力の水準を規定するものである。戦略、大綱ともに10年程度の期間を念頭に定められる。中期防は5か年の経費総額の限度と主要装備の整備数量を明示するものである。

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【防衛装備庁について】
講演の後半は、日本の安全保障政策を踏まえたうえで、防衛装備庁がどのような取り組みを行っているのかをご説明いただいた。
防衛装備庁とは、防衛装備品(自衛隊が使用する火器や航空機、船舶、車両等)の研究開発・取得・維持整備など、装備品のライフサイクル全般を通じた管理を行っている。平成27年10月に新設された省庁である。
平成28年に制定された防衛技術戦略では2つの技術政策の目標を掲げている。一つ目は技術的優越の確保である。防衛力強化に直接的に寄与するのみならず、技術的奇襲を防ぐという観点からも重要な意義を持つ。二つ目は、優れた防衛装備品の効果的・効率的な創製である。防衛装備庁は自衛隊からのニーズをもとに装備品の開発を行っている。ニーズに合致した高度な防衛装備品を創製する必要がある一方で、研究開発から廃棄までのライフサイクル全般の運用コストの抑制をしなければならない。
防衛装備庁内にも装備品の研究開発を担当する職員が存在するが、財政事情や急速に技術が発展している状況では、防衛装備庁がすべての技術を研究開発するのは困難である。そこで、国内外を問わず外部の組織と技術交流を行っている。国内研究機関との技術交流では、お互いの研究活動の考え方等を尊重しつつ、相互の自発的な意思決定に基づいて行う。この交流で得られた成果は防衛分野のみならず、日本のイノベーションへの貢献につながると考えられる。国際共同研究開発では、相手国との安全保障上の協力関係の構築・強化に貢献する側面もある。

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【総括】
本道場では、技術的な面から日本の防衛政策についてお話しいただいた。今回のお話から、防衛装備に関わる技術研究の活動内容は一般的なものと変わらないと率直に感じた。しかし、防衛に関することは、政治的にも慎重に議論されることである。一時の感情などに流されず、自らの立場や意思を明確にし、真摯に向き合う必要性を感じた。

最後に、お忙しい中このような貴重な機会を提供いただきました、防衛装備庁萩原さん、防衛省田原さんに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

(文責:AGL6期 環境・社会理工学院 社会・人間科学系/コース 林 愛彩香)