文部科学省博士課程教育リーディングプログラム事業による支援期間の終了に伴い、平成 30年度3月末に終了となったグローバルリーダー教育院のWEBページです。アーカイブとして残してあります。 グローバルリーダー教育課程は、今後も学内で継続されます。同課程に関する情報は、新 HP に随時アップされますので、(こちら)をご確認ください。
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文部科学省博士課程教育リーディングプログラム事業による支援期間の終了に伴い、平成 30年度3月末に終了となったグローバルリーダー教育院のWEBページです。アーカイブとして残してあります。 グローバルリーダー教育課程は、今後も学内で継続されます。同課程に関する情報は、新 HP に随時アップされますので、(こちら)をご確認ください。
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2017.12.21

H29年度山田道場WHAT'S GOING ON『Programming Boot Camp 2017 #6(全6回)』

2017年12月15日より三日間、東京都府中市府中クロスウェーブにてプログラミングワークショップの最終合宿が開催されました.本合宿は同年10月より約2ヶ月に渡る長期プログラムの締めくくりであり,これまで練り上げてきたWebサービス案をプログラミングを通じて実現します。
今期のプログラミングワークショップは前回(昨年10-12月)に引き続き今回で3回目で、もともと学生の発案・企画・運営でスタートした道場menuです。今回も、企画・運営・メンターの方との打ち合わせを、全て学生主導で行い、参加者は、AGL生を中心に東京工業大、一橋大、東京大からの16名です。メンターは、これもこれまでと同様で、web開発のプロ集団であるギルドワークス株式会社(https://guildworks.jp/)のご協力を得、上野さん、佐々木さん、瀬戸さん、水谷さん、原さん、越さん、川瀬さんにおつきあいいただき、みなさんのアドバイスのもと開発を行いました.
具体的には2-4人のチームを作り,各チームで明確なWebサービスを想定し, Webサービスの媒体を製作しました.言語はRuby on the Railsを中心としhtml,CSS,JavaScript,jQueryを必要に応じ使用しました.

1.今期第6回にあたる3日間合宿の全体の流れ:
・開催日時:12/15(金)〜12/17(日)
・開催場所:東京都府中市 セミナーハウス府中クロスウェーブ

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(1)第1日:
朝9時半に集合して10時から開始しました.まず始めに合宿までに行ったそれぞれのチームの進捗報告と合宿最終日までの作業プランの共有を行いました。その後、ギルドワークスさんと合宿参加者同士でフィードバックを交換しました。その後開発を行っていきました.メンターの方からアドバイスをもらいながら各チームが個別に開発を進めて行きます。
初日では、各チームとも、それぞれのWebサービスの核となる最低限の機能の実装に注力していました。Databaseの作成、model、controller、viewの設計など慣れない作業に悪戦苦闘しながらも集中して作業を行いました。夜10時ごろまで研修室で作業を行い、その後さらに開発を進めていくチームもあり、参加者全員、Webサービスの開発の難しさを感じながらも楽しんで作業していました。最後には最初に報告した作業プランに対して進捗はどうなのかの共有も行い、プランの修正も行いました。
夜遅くまでギルドワークスの皆さんにも、作業に付き合っていただきました。ありがとうございました。

第1日の開発の様子

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(2) 第2日:
朝10時には全てのチームが作業を開始していました。前日遅くまで作業していたところや、昨晩は早めに寝て、朝はやくから作業していた人もいました。
第2日も第1日と同様に、各々作業を進めていきます。
二日目ということもあり,各々機能が充実していくと共に,ユーザーが使いやすいようにデザインに注力していくチームもありました。18時には、各自、他チームのサービス(できているところまでだけれど)を、実際に入力などして体験し(つまりは、疑似ユーザー)、感想・提案を言い合う「おさわりかい」を実施しました。もっとこういう機能があったほうがいい、こうした方がユーザーを使いやすいというコメントは、自分たちだけではなかなか気づけない意見を交換しあうことができました。やはり、自分でいいと思って開発していても、他者が試して見て初めて気づかされることも多く、残り1日の開発時間をどう使い、さらにブラッシュアップしていくか、大いに参考になりました。

2日目の開発の様子

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この日も遅くまで付き合っていただいたメンターの方々には大変感謝しております。プログラミングは特に初心者だと、どうしても詰まってしまうことがあり、困った時にすぐに聞ける環境というのは大変ありがたいものでした。また仮に作業がうまくいっても初学者が無理やり組んだコードだと、後々応用が効かないものや、非効率なものになっていることが多く、より正式なコードの書き方も教えてもらうことができ、大変貴重な機会となりました。


(3)第3日:
最終日も発表までの作業は初日,第2日と同様なので割愛します.
16時ごろから各チーム最終報告を行いました。

2. 各チームの開発内容:
● Fire ant (有子山、篠原、藤岡)


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<発見したヒアリの情報を共有、報告できるサービス>
チームFire antsは最近話題のヒアリの発生情報を共有できるサービスを開発しました。
・取得ボタンを押す
・マーカーをドラックして位置情報を修正
・周辺環境やアリの情報を入力
・送信ボタンを押す
この四つの作業で報告できるというのが、簡単でいいなと思いました。デザインも統一感があって綺麗でした。さらにヒアリのことを知りたい人には情報ページにもリンクがあるのは確かに親切だなと思います。一方でそういったサイトは情報がtoo muchな場合も多いのでFire antのサイトで見分け方などがあればもっといいなと思いました。さらに、探したけど見つからなかったという情報も共有できるようにすればさらに、ヒアリの特定につながるので、その機能やマーカーの色、アイコンが動く(ことをイメージできる表示)など、利用者がわかりやすく使える工夫や、ヒアリの写真も出せるように今後はしていくとのことです。
有子山さんが非常に社会的に意義があるサービスだという呼びかけで始まり、その通りだと思いますし、環境省とも連携したいとのことで、今回で制作して終わりではなく、この先がとても楽しみなサービスでした。

● otto(寺田、高田、長村)


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<事業承継をしたい会社とそれを担いたい人のマッチングサービス>
チームottoは高田さんと長村さんの案で始まり、そこに寺田さんが参加してできたチームです。後継者がいなくて困っている企業と、自分で裁量を持って仕事をしたい若い人をマッチングさせるというwebサービスです。企業が募集をweb上に出して、それを観た人がエントリーできます。
企業を探して、エントリーも行えるという機能まで実装できており、企業側もログインして、メール機能との連動もできるようになっていました。
Ottoの理念も載せるページなど、コラムも閲覧できる機能など多機能でデザインもしっかりしたものとなっていました。案件での検索機能なども今後実装していきたいとのことでした。
中小企業の社長さんは高齢の方が多く、メール、ホームページもない中小企業などもあるので、webサービスには抵抗がある可能性があるのでデザインももっとシンプルにしていきたいとのこと。このチームは、チーム内での議論も活発に行われていました。将来の、ユーザー・インタビューの際のことも考えながらサービスのコンセプトを考えていることが伺え、素晴らしいと思いました。既存の求人サービスと如何にもっと差別化を図るかもポイントではないかと思います。

● Casual Trip(日高、甲斐)

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<日本に来た外国人観光客と日本人ガイドをマッチングさせて、観光客にはよりディープなツアーを提供するサービス>
二人チームという最初から人数的なハンデがあることに加えて、甲斐さんが体調不良で合宿に参加できないというハプニングが・・・3日目の朝に甲斐さんがスカイプで少し議論できましたが、基本的には日高さん一人で開発することになりました。しかし、日高さんは、前向きに開発に取り組み、最終的にはとても綺麗なwebサービスを作ることができ素晴らしかったです。苦労した分、それだけ身についたものも多かったのではないでしょうか。
ガイド登録、ガイドのプロフィール閲覧、そのガイドが企画したツアーを閲覧、いきたいツアーの選択、ガイドとのチャットという多機能なサービスができていました。今後はガイドの評価、ツアーを利用した人の感想を観ることができる機能を今後は実装したいとのことでした。外国人観光客が増えていますし、英語を話す練習をしたい日本人学生も多いと思いますので、利用したい人はかなり多いと思います。自分が簡単にツアーを組めるというのも面白いと思いました。外国人観光客を呼び込みたい地域なども使ってみたくなるのではないでしょうか。

● t2pay (松浦、土屋(春)、袮津、矢島)


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<駆け出しYoutuberに投げ銭(少額の寄付)をすることで、寄付した相手のコンテンツにだけ使用できるトークンを発行し、かつ、そのYoutuberに早めに目をつけて投げ銭をするとそれだけトークンの価値があがるサービス>

もともと友人同士であった松浦、袮津、土屋の三人が考えた案に矢島君が加わったチームです。金額とそれに対してトークンを発行し、かつ寄付だけをする人もいれば、動画を投稿もする人がいるということでかなり複雑なモデルであったため、データベースの作り方などに悪戦苦闘しました。なんとか、動画を観て、寄付をして、トークンがもらえるところまで実装することができました。そのほか、寄付金が多いYouTuberのランキング機能なども実装することができました。頂いたコメントは主にUIに関するものでした。若干機能が複雑なため、新規ユーザーは何ができるのか、分かりにくいので、いかにわかりやすく説明を入れるのかが、ポイントになりそうです。そのほか自分のお金を払うものなので、簡単すぎず、かつ複雑すぎない形で送金できることが大事ではないかと思いました。ゲーム感覚で簡単に応援できるようにユーザーに使ってもらえるようにしていきたいです。

● Lente (井口、川口、逢坂、土屋(泰))


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<弱視の方に簡単に目的地までの写真付き地図を発行するサービス>
チームLenteは去年の山田道場のプログラムであるLean Launch Pad (LLP)で優勝したという、スタートからビジネスコンセプトが非常に出来上がっているチームでした。利用者が弱視の方ということで、観やすく使いやすさも求められるので、デザインにもこだわっていました。Googleマップ上でカーソルを動かすと、別のルートも見ることができたり、目印としてコンビニをピックアップできたり、ルートの印刷も簡単にできるようになっており、さらに使いやすいものになっていました。イギリスからパリへの徒歩ルートも出ました笑
さらなる機能としては、写真とルートのステップが一致していればさらによくなるだろうとの話になりました。道を間違えてしまった場合のヘルプ機能も何かあればさらに利用者は安心して使えるのではないかと思いました。ただしUIとしては、紙よりも、音声やスマホでも使えるようにした方がいいだろうと今後の開発における改善点も出て来ました。非常に可能性があるサービスであるからか、活発に意見が出て来ました。そもそも弱視の人と括らずに、街を誰にも頼らずに堂々と歩きたい。そのためならば、事前準備をしっかりする弱視の方と、もう少しユーザーを絞ってもいいのではないか。そこから、ログインもさせた方がいいのかなど、もう少し機能、デザインを絞ってみた方がいいのでは、という話にもなりました。LLPでかなり絞れているアーリーアダプターがいると思うので、そのアーリーアダプター向けである、というコンセプトはブレずにやっていけば、かなり良いサービスになるのではないかと思います。今後がとても楽しみです。

● 汗ログ (瀬戸さん)

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<サウナ愛好家たちのコミュニティサービス>
メンターの瀬戸さんも三日間でwebサービスも作られていました。サウナの検索、さらにサウナを利用したログを記録できるサービスです。
メールアドレスとパスワードを入力してログインすると、自分が利用したい条件をつけてサウナを検索、自分で利用したサウナの条件をつけて登録できます。利用者同士のマッチングもできるということでこの短期間でここまでの機能を実装されていて、本当にすごいと思いましたし、アーリーアダプターが自分というのもニーズがはっきりわかっていて良いと思いました。

発表後、お世話になったギルドワークスのメンターの皆様にささやかですがプレゼントを渡しました。今回のプログラムだけで終わらずに継続的に関係を続けていけるといいなと思います。その後、各チームで振り返りを行い解散しました。

3. 総括
 昨年止むを得ず参加できなかったプログラミングブートキャンプについに参加することができました。無事に終わることができて、ホッとしています。去年よりもうまく進んでいたという声も頂き、とても嬉しいですし、私自身大変勉強になりました。
私含め、ほとんど全員がプログラミング初学者ということで、皆さん、本当に開発ができるのか、不安に思っていたと思いますが、最終的はそれぞれ開発までたどり着けました。今回のプログラムを通じて、webサービス開発の楽しさ、そして難しさ、大変さを皆さん感じることができたのではないでしょうか。楽しいと感じた人は、そのまま技術力を磨いていけばいいし、ちょっと向いてないなと思った人も、体験しなければ向いてないと思うことすらできないですし、大変さを肌で知っているか否かは今後大きく違ってくると思います。それぞれ今後に活かしてもらえたら嬉しく思います。個人的にはガッと集中してみんなあれこれ言い合いながら開発していくのが純粋に楽しかったです。また来年も参加したいと思っています。

t2payのメンバーとして意識していたのは、12月17日の合宿最終日に、よりよいwebサービスを完成させるという成果を出すことでした。そのためにまずは土屋、祢津という私が以前から知る信頼できる二人を本プログラムに誘いましたし、合宿前にt2payチームで一日時間取ってミニ合宿を行ったりしました。一定の効果があったと思います。合宿中も開発を進めていくとそれぞれ得意な面、他のメンバーよりも分かっている面が出てきます。それを上手く判断し、活かすように心がけることができました。本当は、私自身webサービスのフロントエンドの部分は多少経験があったため、技術的にはバックエンドの部分を開発したいと思っていました。しかしチームの中でバックエンドが分かってきたメンバーが出てきて、発表までの時間を鑑みて、ここで自分が無理矢理やるよりも彼に任せたほうがいいだろうと判断し、自分はフロントのほうに回りました。そのほうが成果につながると考えたからです(実はここでほんの少しですがメンバーと険悪に・・・仲直りしましたが笑)。同時に自分のやりたいことと、それが成果につながるようにするためには準備が必須であるなと反省しました(やりたいといいつつ、自分で事前学習してこなかった)。

また世話人としては、もう少し最初の段階から、参加者全員がコミュニケーションを取り合ってみんなで意見を言い合い、切磋琢磨し合えるようにできればもっと全員の開発ペースを早められたのではないかなと思っています。合宿を通じて全員が打ち解けてくるとチームを超えて情報交換なども行うようになっており、全員の開発ペースが一気に上がっているのが見て取れたからです。この反省点を次年度のブートキャンプに引き継ぎ、さらに良いプログラムにしていきたいと思います。

最後に3日間作業時間中のみならず夜遅くまでメンタリングいただきましたギルドワークスの皆様、上野さん、佐々木さん、瀬戸さん、原さん、水谷さん、越智さん、川瀬さんに、厚く御礼申し上げます。常に、そばにエキスパートの作業ぶりを間近で見ることができたのは、大変貴重でしたし皆様からのアドバイスはいつも大きな助けとなりました。

集合写真

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(文責-松浦賢太朗 AGL6期生 東京工業大学 電気電子系 電気電子コース)