2018.02.19
H29年度山田道場WHAT'S GOING ON『The Kao Way from a local Japanese soap manufacturer to a global company<日本の「いち」石鹸メーカーからグローバル企業へ>』
1/26(金)18:00~20:15、<日本の「いち」石鹸メーカーからグローバル企業へ>と題して花王株式会社のDr. Heinz Theis(Vice President, R&D - I-Matrix/Hair Care, Global)による道場が開催されました。また、Dr. Link(Kao Executive Research Laboratories, Kao Germany GmbH)、花王株式会社人材開発部の茅根さん、同社研究開発部門の前田部長、西さんも道場にいらして議論に加わっていただきました。
<Dr. Theisの自己紹介>
ベルリン工科大学で化学のPhDを取得したDr. Theisは、花王に入社しベルリン研究所でスキンケアの研究を行いました。その後Darmstadtに異動。ここには花王ドイツ支店およびEMEA(Europe; Middle East Africa)の拠点があり、花王の認知度が低いヨーロッパで、ドイツを中心にヨーロッパ市場への浸透を試みていることがわかりました。またDr. Theisは、ラボではできない「creating something product」がモチベーションだったそうで、具体的には製品の原料となるものの調査等を行っていたそうです。
<花王について>
花王のビジネスフィールドは大きくBeauty Care / Human Health Care / Fabric and Home Care / Chemicalの4種に分かれています。ブランド名を聞けばよく知っている日用品から企業を相手にした原料ビジネスまで幅広く展開しています。また、日本国内のみならず世界各国でも商品を展開しており、それぞれの国のライフスタイルにあった製品を生産しています。しかし多くの国に商品展開しているにも関わらず売上の2/3は日本であり、欧州・米国はそれぞれ10%程度です。今後の課題として、EU/USでの売上向上を加速させるための知名度の普及、それに伴う生産量の増加をする必要があるとのことでした。
<花王の歴史/よきものづくり>
1890年当時の石鹸は、輸入品だと高品質だが高価であり、国内品は低価格だが低品質でした。創業者の長瀬富郎さんが開発した花王の石鹸は、日本初の高品質なものであり、世間に話題を呼びました。その後さらに低価格化や新梱包等により今もなお進化を続けています。
先に挙げた4つのビジネスフィールドはそれぞれが独立したものではなく互いの連携を大事にしています。「よきものづくり」をするためには基礎研究や製品の研究開発のつながりは必要不可欠で、それによって新たな価値が創造されるのだと思います。また、消費者目線に立った時の'使いやすさ'をとても大切にしていることがわかりました。
<世界へはばたけ>
1964年にタイで花王の工場を建設したのを起点に世界展開し続けています。研究所の数は日本4に対して国外20拠点を展開しています。各国のニーズに応えるためにすごく力を入れていることが分かります。
髪の毛に関する研究開発の例を紹介してくれました。髪の毛をストレートにするための研究では、人種/個人で髪の毛の質が全然違うのでたくさんの化合物でテストを行い、それがいかに安全で簡単に矯正できるかを試行錯誤した様子がわかりました。また、髪の毛の染色剤では写真の染色の仕方を参考に富士フイルムと共同研究しているそうです。異分野との連携には驚きましたが、この意外な融合が革新的な技術の開発につながることがよくわかりました。
<まとめ>
今後は現状の4つのビジネスフィールドからさらに新たなフィールドへの事業拡大を目指しているそうです。将来に向けてkeep & changeすることで革新的な商品の開発に挑戦する姿勢がよくわかりました。
お忙しい中このような機会を提供してくださった花王の皆さまに心より御礼申し上げます。
加えて、今回、同社よりAGLでのリーダシップ教育の趣旨にご賛同いただき、寄付をいただきました。重ねて、御礼申し上げます。
どうもありがとうございました。
(文責:古清水智夏 AGL7期生 東京工業大学生命理工学院)